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質問 リーダーの意義とリーダーの在り方について教えて下さい。  2007.3.1

<回答>

1、集団の最重要の問題は、リーダーたる者の資質である。

 『人、生まれて群(ぐん)する無きこと能わず』(荀子)の言を俟(ま)つまでもなく、人間は本質的に社会的存在であり、また、その活躍する舞台は、易経に曰う『天・地・人の三才(万物)』で表されます。

 而して、人の世はつまるところ「人にある」ため、『天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず』(孟子)ということになります。

 言い換えれば、人間は生きてゆくために社会集団をつくらなければならず、集団には指導者が必要となり、指導者の善し悪しはそのままその集団の運命につながるということになります。

 逆に言えば、集団の指導者はいかに在るべきか、これが集団にとって最重要の問題ということになります。

 この集団の指導者の道を説いているのが孫子であり、そのリーダー論のエキスが<第一篇 計>に曰う五事・七計であります。


2、真のリーダーとは

 その指導者にとって(部下が付いてくるかどうかの)最も肝要なメルクマールは『正義(正しい道理)』に適っているか否かということであります。

 たとえば、前法務大臣の杉浦正健氏は就任早々の記者会見で「私は死刑執行命令にサインしません」と明言し物議を醸しましたが、その一時間後には「個人としての信条を吐露したものであり、法務大臣の職務の執行について述べたものではない」と前言を撤回いたしました。

 しかし、報道で知る限りでは、彼はその十ヶ月の在任期間中、ついに死刑執行命令書に署名しませんでした。個人の立場・見解がたとえどうあろうと、一度、法務大臣の職に就いた以上はその職責を忠実に果たさなければならないことは当然のことであり、それが指導者たるものの正義に他ならない。もし、その覚悟が無いならば初めからその職に就くことを辞退するのがこれまた正義というものであります。

 法務大臣としての正義よりも、個人の見解を優先して死刑執行を回避するなどまさしく法務大臣としての、はたまた国会議員としての資質に欠けるものであり、日本国民に対する裏切り行為と言わざるを得ません。

 孫子は真のリーダーについて『進みては名を求めず、退きては罪を避けず、ただ民を是れ保ちて、しかも利の主に合うは、国の宝なり。』<第十篇 地形>と論じています。

 リーダーがリーダーとして成り立つためには、『正義(正しい目的)』に適っているか否かで判定されるということです。玉石混交のリーダーの真贋を見破り適切に対処するためにはその本質を見抜く厳しい観察眼が不可欠です。要するに、似非(えせ)リーダーに騙されるな、ということであります。吾人が孫子を学ぶ所以(ゆえん)であります。


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